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建築士会コラム

役員リレーコラム「平成から令和へ」高松支部 理事 篠原晴伸

5月1日から新しい元号が始まりました、「令和」。私も皆さんと同じ様に4月1日の発表を興味深く待っていました。発表から1週間程で新元号に慣れて来たように思いますが、発表された瞬間は「令」の文字が馴染めず何かポカンとした印象でした。「令」と言う字は発表以前の色々な予想の漢字に無かったですからね。
 
その後、それを選んだ趣旨の説明があり、今までの中国の古典からではなく、日本の万葉集から選ばれた事、その和歌の内容と引用した元号に掛ける願い、また「令」には「良い」とか「立派な」という意味もある事を聞き、段々と良い元号と思えてきました。引用された「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を拓き、蘭は珮後の香を薫らす」と言う歌も、普段気に掛ける事が無かった万葉の雰囲気を一瞬ですが感じた気にさせてくれます。
 
30年前の「平成」の時の言葉の経緯は覚えていませんが、「昭和」「平成」と続く中で、「昭かに和平成る」と元号が繋がって見えると、テレビ番組のコメンテーターが言っているのを聞いて、いい元号だと思った記憶があります。
昭和が長かったからか、私はアッと言う間に「平成」の30年が終わったと思っていましたが、その後、じっくりと振り返ってみた時、人生に置き換えてみると長いものだと感じるようになりました。0歳児が30歳、30歳が60歳、60歳が90歳となる訳ですから、30年は人生の中でそれぞれとても大きな時間の経過ですね。平成の30年間も、東日本大震災や阪神淡路大震災、ソ連の崩壊や湾岸戦争、ベルリンの壁崩壊やリーマンショック等、もう遠くに記憶が薄れている事柄も平成だった様です。
 
昭和生まれの私が子供の頃は、「明治は遠く成りにけり」と聞くことが時々有りましたが、今後は「昭和は遠く成りにけり」と言われそうですし、平成生まれの人もその内そうなるでしょうね。

平成の始まりの流行語に「24時間戦えますか」と言うのがありました。その以前には「モウレツ」というのもありましたが、働き方改革が4月から始まった今日、30年前とは働き方の人々の意識、社会の意識も、善し悪しは別として随分変わったものだと思います。

自分が30年前に設計し竣工した建物を振り返ると、当時の若さで設計に情熱をぶつけた思い出が懐かしく思いだされ、自分の中では日々建築と「24時間戦って来た」と言うより、取り組んできた様に思います。平成に「ゆとり教育」と言われた時期がありましたが、それが失敗であって、方向が切り換えられた今を感がえてみると、世の中が働き方改革と成って時間が出来るからと言って、建築に対する情熱と楽しみを失わず、特に若い方たちには頑張って欲しいものです。
 
元号が変わると言えば、江戸(慶應)から明治への変化は大きく、近代化への流れの中で、熱い思いや希望を持った日本人は多かっただろうと想像します。今年のNHKの大河ドラマの「いだてん」は大河ドラマ的なイメージを離れ、少しチャラけた表現ではありますが、その中にも明治の熱きエネルギーを想像させてくれている様に感じます。

司馬遼太郎氏が「建築に観る日本文化」と言う講演の中で、氏は明治の文豪、夏目漱石に触れ、漱石は実は建築をやりたかったと言う下りがあります。その中で、正岡子規は当初哲学をしようと考えていたが、米山保三郎と言う天才が哲学をするという事で自分は国文学に変えたという事や、その米山保三郎は夏目漱石の学友であり、そもそも日本(明治時代の)にイギリスのセントポールカテドラルの様な大規模建築の発注者が出る訳がない、だから建築なんてやめた方がいい、だが文学なら望みがあるだろうと言って建築から文学に導いたという事を面白く語っていました。ただ、元々理学系の頭で数学に強く法則的考え方が好きで建築をやりたかった漱石は、幾つかの小説の中の表現に建築への未練を感じさせるものが出ていると氏は言っています。

氏によれば、「明治までの日本の大きな建築はと言えば、仏教との関わりから奈良時代にその傾向があったものの、その後平安京に遷都してから信長が安土城を建てるまで一部を除いて基本的には無い」と言っていますが、漱石が近年の日本の大きな建築をもし見る事が出来れば相当に驚き、建築への思いが再燃したかも知れません。また漱石が文学をしながらも、もし建築に取り組んだらどんな作品を作っただろうとの興味も湧きます。

私は、建築士会のモニター会議の座長を3年させて頂いています。毎年その年に建築された物件から「かがわ建築士」に掲載を推薦する作品を上げ、確認する作業ですが、モニター会議時では物件名しかまだ分かりません。今年はどんな建築があるのかと興味を持ち、その後冊子になった写真を楽しみに見せて頂いています。
                                  
香川県に良い意味で競い合って、そして良い建築作品がどんどんと増える事を期待していますし、自分も微力ながらその方向に力を注ぎたいものです。

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