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建築士会コラム

役員リレーコラム「歩く旅、乗り物の旅 むかしといま」 調査研究委員会 副委員長 高岸雄三

昔の思い出 「急行 瀬戸」
東海道新幹線開業 以前。「急行瀬戸」は東京駅21時00分発で、翌日11時14分宇野到着の普通急行夜行列車でした。寝台でない普通客車の硬い座席に昼夜14時間以上も座り続けるのは、たいへんな苦労ですが、当時はこれしかなかったので、いつも大勢の乗客で混んでいました。「旅は辛抱」の時代でした。「急行瀬戸」は新幹線開業後も存続し、その後 ブルートレイン寝台特急「瀬戸」になり、いまの「サンライズ瀬戸」にいたって、快適度がぐっとあがりました。

乗り物が便利になりました
いまでは東京駅20時10分発の新幹線のぞみ号は、岡山で最終の高松行マリンライナーに接続し、羽田空港の高松行最終便は20時発などと交通機関が格段に便利になりました。乗り物を利用することで、どこに行くにも大変便利になり、より楽に、速く、簡単に、快適に移動することができます。大都市を結んで新幹線などの高速鉄道網が充実し、エアライン航空網が張り巡らされています。LCC航空にて低廉に、気軽く、海外へいくこともできます。高速道路網も充実してきて、遠距離でも、快適なドライブでドアツードアの移動が楽になりました。陸海空の乗り物の進歩のおかげで、何日もかかっていた難行苦行の行程が 大幅に時間短縮され、便利に軽く日帰り短時間コースとなってきて人々の動く範囲も大きく拡がりました。文明の恩恵をうけて個々人の行動範囲がグッと広がり、便利になることは本当にありがたいことです。しかし乗り物の進歩には光もあれば、影もあります。便利さを求めて、乗り物を利用すればますます歩かなくなってしまうので、影の面としていろいろな問題がでてくるのです。

ゆっくり 「歩く」ことで より多くのものが見えてくる
乗り物にのってサーッとはやいスピードで通り過ぎると、つい見逃してしまうことが多くあります。乗り物を使わずゆっくり歩いてこそ、より多くのものに気づき、見えてくるのです。思索にふけりながら歩く「哲学の道」のように歩くと、脳の活性化につながって良いアイデアがつぎつぎとわきあがってくるかもしれません。

『病気の9割は歩くだけで治る』長尾和宏著 山と溪谷社2015年
『病気の9割は歩くだけで治る』という本がでていました。ちょっとセンセーショナルな題名ですが、著者は香川県出身。歩くしか移動手段がなかった江戸時代、一般的な庶民は今の人の6倍、一日3万歩くらいは歩いていたとか。いま健康を意識して積極的に歩けば、 確実に病気の予防・ボケ防止・ウツ防止につながっていくとのことです。でも忙しい現代人には健康のため「歩きたい」という願望は、そう簡単に叶うものではありません。積極的に「ウォーキング」しなくてはと一念発起しても、日々時間に追われる日常生活のルーティーンのなかでは、昔の人のように日々継続的に長い距離を歩くのは、時間的・空間的にも大変難しいことなのです。

快適な「ウォーキング」、 気持ち良く 歩ける道 を選んで歩こう
風光明媚な自然歩道のような 気持ちよく歩ける道は どこかないかな? そう思ってみて 楽しく快適に歩けるトレールを探しても 身近にはありません。そこでとりあえず、近くの自動車の通行量がおおい道路脇などでウォーキングしてみても、決して快適な歩きにはなりません。ましてや、周りの景色も変わらないジムのトレッドミルの上を淡々と歩くのは 本当に苦行です。快適に楽しく継続的に「歩く」にはいろいろな工夫が必要なのです。

『旅行用心集』八隅蘆庵著 現代訳 桜井正信監訳 八坂書房2001年
著者「八隅蘆庵」は江戸時代の旅の達人で文化年間に発行の『旅行用心集』はいま現代語訳版となってでています。『旅行用心集』は江戸時代の「歩きの旅」のガイドブックとして広く出回っていて、全国各地の道中のいろいろな心得・名所・宿・里程距離表・温泉紹介など、歩き旅に有益なことが多々記述されています。どうしたら快適に歩けるか、「歩き旅の秘訣」が詰まっています。

「道中は自由せんと思うまし ふ自由せんとすれば 自ゆふぞ。」
(旅の間は思うままにしようと思ってはいけない。不自由を当たり前とおもえばこそ、思うように楽しめるのだ)
交通機関が発達し、たいへん便利になった現代の旅も江戸時代と同様で、不自由を当たり前とおもい、いかに不便さを素直に受け入れて味わうかが旅の面白さ楽しさになるのです。いまは欲しい物が何でも入手でき、欲望が限りなく広がる時代。旅の不便さを味わう生活態度と謙虚な姿勢を普段の日常生活でも持ち続けることは、いまでも大切なことで、際限なく広がる欲望をコントロールしつつ、つねに心に余裕をもってより楽しく、よりよく暮らせるようになるのではないでしょうか。 

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