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建築士会コラム

役員リレーコラム「勧酒」 西讃支部理事 西山秀樹

コノサカズキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミトツガシテオクレ
ハナニアラシノ
タトエモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ
 
中国の詩人・于武陵が詠んだ漢詩『歓酒』を小説家・井伏鱒二が訳したものです。初めてこの詩を知ったのは、20代前半だったと思いますが、過ぎ行く日々に流され、日常の生活や身の回りに疑問を感じることもありませんでした。

なので、当然この詩の意味も知ることなく、「宴会のススメ」的な文書としかとらえていませんでした。ですが、ふとしたきっかけでこの詩の意味を知ることとなり、以後私の中に深く残っています。
 
「サヨナラダケガ人生ダ」 
  →人生は別れがつきもの
「ハナニアラシノタトエモアルゾ」 
  →いつ、何がおこるかわからない
「コノサカズキヲ受ケテクレ・・・」
  →だから、そのとき一瞬の出会いを大切にする
 
文面が、『「サヨナラ」ダケガ人生ダ』で終わっているため、酒を煽って、ハイさよなら!そんな単純な捉えかたしかしていませんでした。文を逆からたどり、意味を説き解くと、ただの『お酒の勧め』的な詩が、『人との出会い』の大切さを説いた詩であり、勝手な解釈をしていた自分が恥ずかしくなりました。

普段の生活では、分かりやすい言葉や表現のなかに埋れた生活をしており、原文のニュアンスを残した少ない言葉のなかに、詩の『思い』を最大限に表現したこの訳に感動しました。

私自身は、ひととのコミュニケーションにおいて、話の流れに任せた相槌は打っているものの、内容が頭に残っていないことがよくあります。これは、そもそも理解することをやめているのではないかという気がします。いまひとつ、自分が発するコトバを、最小限にそぎ落とし『意味』や『思い』を込めて、気持ちを伝える、また、相手の発した言葉から真意をくみ取るコミュニケーションを目指したいと思います。
 
さて、ここで紹介した井伏鱒二の代表作として「黒い雨」があります。今村昌平氏により映画化もされた作品です。原爆投下後の広島を舞台に、風評被害により人生を翻弄された夫婦と姪の物語です。

東日本大震災においても、被災された方に追い討ちをかけるような風評被害が見られましたが、苦境や我慢を強いられたとき、日本人の忍耐力や団結力を強く感じる一方で、独りよがりな正義感から同調圧力や群衆心理が作り出されて、思わぬ方向へ向かうこともよくあります。昨今の新型コロナウィルスへの偏見も同様です。感染は特別なことではない、誰しもがありうることなのですが、どうしても警戒感が強くなります。

例年であれば、酒宴の席が多くなる時期ですが、皆さんどうするべきか苦慮している方も多いと思います。しっかりと対策をとったうえで、「コノサカズキヲ受ケテクレ」「サヨナラダケガ人生ダ」です。私は、その瞬間の出会いを大切にしたいと思います。
 

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